来訪者の多い鶴岡八幡宮や長谷方面から離れ、隣町逗子市に近い大町エリアには、工芸や雑貨、拘りの飲食店など個性的な店舗が点在している。その一画、神奈川県道311号鎌倉葉山線を鎌倉方面に進み、大町四ツ角を過ぎた辺りの沿道に突如としてトンネルのような路地が現れる。飛び石に引き込まれるように奥に入っていくと、手押しポンプの付いた井戸のある中庭に至る。
通り側の2階家、平屋、奥の2階家が庭を囲んだ配置となっており、この平屋に店を構えるのが「穀物カフェ ソラフネ」である。元は大正初期に建てられた漢方薬局とのことで、100年超に渡り刻まれてきた時間が生み出す風情が素敵な佇まいとなっている。
玄関を開け店内に入ると、四畳半の小さな座敷、六畳、八畳の3間が庭に面してつながり、八畳間の脇には台所が付く。マイクロビオティックをテーマとした同店では、穀物と野菜を主役とした身体に優しいメニューを提供している。
今回は、日替わり定食や大豆ミートを使ったから揚げ定食などと迷ったが、今回はおにぎりセットを注文した。海苔が輝く塩むすびは、岩塩を使用しているとのことで適度な塩加減とふっくらした玄米の風味がシンプルながらも深い味わいである。湯気の立ち込める熱々具沢山のお味噌汁と共に身体にすっと浸透してくる美味しさであった。
観光エリアとは少し離れているのと、土日祝日は休業日なので中々行きにくいかもしれないが、平日にゆっくり休みを取り鎌倉散策も兼ねて、訪ねてみても良いと思う。古都鎌倉の古民家で、心も身体も癒されてみてはいかだろうか。
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