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heritagetimes

[歴飯_147]café recette 鎌倉



江ノ電長谷駅から極楽寺方面に向かう星の井通りの裏手、[歴飯_102]café 坂の下へ続く小径沿いは、かつて漁師や職人達の住居が多かった地域であった。車の入らない路地裏には古民家が連なり、どこかノスタルジックな場所となっている。この路地裏には、小さな稲荷社を中心とした一帯に、5軒(取材当時)もの古民家カフェが集まる。歴飯では、これまでにこのうち、4軒の店舗を紹介してきた。今回は最後の1軒となる、[歴飯_104]paso(パソ)の隣にある古民家をリノベーションした「café recette 鎌倉」を紹介する。同店は、東京都世田谷区にある高級パン専門店「recette」の直営カフェとして平成25(2013)年にオープンしており、星の井通りに面した食パン専門店、「Bread Code by recette」の姉妹店にあたる。



先ずは建物を見ていく。同店は大正期に建てられた古民家をリノベーションしているとのことである。外観は大きく改修されているため、一見古民家感はないが、ブロック塀に付いた板戸や玄関先に古民家の風情が残る。玄関脇のテラスに続く足元には赤い瓦の破片が敷き詰められているが、これは市内の洋館を解体した際に屋根に葺かれていた洋瓦の破片を再利用しているそうだ。引き戸を開けて店内に入ると、正面に見える結霜硝子(フェザー硝子)が入った障子戸が店内と玄関を仕切っている。障子戸を開けて室内に入ると、右手にカウンターキッチン、奥に客席が続く。



小屋組みを露出させた店内は、開放感があり、古材を活かして改修された空間は居心地が良い。カウンター脇には階段があり、キッチン上部には2階スペースもあるようだ。席に着き、天井を見上げると、天窓から優しく陽光が射し込む。中央の棟梁は、元の建屋を建てた際に、江戸時代の木材を利用したそうで、相当の歴史を持った古材である。



カフェタイムの来訪ではあったが、ついつい食パンに惹かれ、「プレミアム食パン専門店Bread Code厚切りトーストプレート」と「自家製クルトンの入ったポタージュ」を注文してしまった。同店では、パンの提供方法にも拘りがある。木のプレートの中央に熱した玄武岩のプレートが入る溝があり、ここに網を乗せ、こんがり焼けたトーストが運ばれてくるため、時間がたっても冷めずに美味しい焼き立てのトーストが味わえる。食パン専門店のパンということもあり、表面はサクッと中はモッチりとした弾力のある食パンは、シンプルなトーストとは言え、食べ応えがあって美味しかった。フレンチトーストやアップルパイも気になるので、次回は試してみたい。

長谷から由比ガ浜通り一帯は古民家や歴史的建造物を活用したカフェが多数点在するエリアである。たまには、こうした店舗や元の建物、鎌倉の歴史に想いを馳せてみる鎌倉散策をお勧めしたい。



<稲荷社を中心に集まる一帯の古民家カフェ>

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