令和5(2023)年9月10日(日)、「開港5都市景観まちづくり会議2023函館大会」2日目、16時から旧函館区公会堂 2階大広間を会場に全体会議Ⅱが行われた。
会場となった旧函館区公会堂は旧函館区公会堂は明治43年(1910)に建てられた、洋風建築の代表的建物。明治40(1907)年の大火で町会所(および同所にあった商業会議所)が焼失したことから,集会所や商業会議所事務所として建てられた。設計は函館区技手小西朝次郎、監督は函館区技手渋谷源吉、請負は函館区民の村木甚三郎。昭和49(1974)年に国の重要文化財に指定され、昭和55(1980)年から57(1982)年に大規模な保存修理が実施された。その後観覧施設として市内有数の観光名所となったが、風雪などの影響で各所に傷みが出ていることから平成30(2018)年から令和3(2021)年にかけて、約40年ぶりの大規模な保存修理を実施し,同時に建物の耐震補強が行われた大変貴重な建物である。
各都市のFG (Future Generation=若手参加者) がファシリテーターとなり、「持続可能な景観まちづくり」をテーマに、各都市のまちづくり、景観保全活動に関して課題を挙げ、解決のための活動目標や達成に向けた具体的な取り組みを考えた。函館大会計画中にオンライン会議等で各都市FGに情報提供を行い、ファシリテーターの協力を求めるなど、今までの大会での交流が成果としてつながった運営方法であった。
会場中央には函館市の街並みを再現した大型模型が置かれており、最初にこの模型製作について北海道函館工業高等学校の生徒による話題提供が行われた。
模型プロジェクトは今年で4年目。函館駅から南側に向けて毎年ゾーン分けし、目標設定を行い作成を進めてきた。今年は「緑の島」を中心に模型作成を行った。アールのある歴史的建造物の模型化が難しかったがよく再現できた、といった報告が行われた。
続いて北海道函館工業高等学校の生徒も交えて、5名程度のグループに分かれてグループディスカッションを行った。参加者は73名、計15グループとなった。
グループには「対話テーマ(下記参照)」が設定されており、参加者はどのテーマで議論したいか、自分で選ぶことができた。
①景観(夜景、伝統的建造物など)
②歴史・文化(歴史のストーリー、食など)
③環境(海洋ごみ、森林伐採など)
④交通(バスなど公共交通の利便性向上など)
⑤経済(買い物難民、商店街の衰退など)
⑥人材育成(担い手不足、若年層の流出など)
⑦福祉〈多様性〉(バリアフリー、性的マイノリティ、誰でもトイレなど)
⑧情報技術、情報システム(SNSによる発信、IT産業の振興など)
⑨港(港の活用など)
それぞれの「持続可能な景観まちづくり」のテーマに対し、「持続可能な開発目標」であるSDGsのテーマのようにキャッチコピーを導き出し、最後に各ファシリテーターから発表された。
<導き出されたキャッチコピー>
01 - 街にふれてたくさん街を知ろう【景観】
02 - 地域のみんなでビジョン共有【景観】
03 - ワタシの推しは地元です ! 【歴史・文化】
04 - 市民と行政が新たな表現で歴史発信【歴史・文化】
05 - まずはゴハンを残さない!!【環境】
06 - 乗りたくなる交通手段の確保 【交通】
07 - そうだ!! 公共交通ルートでいこう! 【交通】
08 - 時代の変化に対応し、第2の開港を !【経済】
09 - 世代をこえてみんなでパズルを埋めよう【人材育成】
10 - 居場所のない若者に居場所を 【人材育成】
11 - 私にできることで隣人を支えよう 【福祉〈多様性〉】
12 - インクルージョンで変えていこう !【福祉〈多様性〉】
13 - 誰もがわかる短い言葉で伝えよう !【情報技術、情報システム】
14 - 未来の人材に足を向かせる港づくりを!【港】
15 - ふと嬉頭へ【港】
まとまった時間で景観まちづくりについて議論する場として、満足感の高い会議だった。
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