東海道五十三次の8番目の宿場「大磯宿」が置かれ、往来の人々で賑わった神奈川県大磯町。丘上のJR大磯駅から坂を下り旧東海道に入ると、沿道には歴史を感じる蔵や商店が点在している。湘南発祥の地(諸説あり)として知られる鴫立庵を過ぎ、箱根駅伝のルートでも有名な松並木に向かう途中の沿道に、歴史を感じる古民家が見えてくる。
今回歴飯で紹介する「肉と野菜の店 相模園」では、地場産の肉や野菜に拘ったメニューを提供している。昭和13(1938)年に建てられた出し桁造りの間口を広くとった古民家は、大磯町内旧東海道沿いでは少なくなった商店建築の風情を今に残している。建物脇にある丸形ポストも外観のアクセントとなっていて可愛らしい。
硝子戸を開けて店内に入ると、手前の土間がテーブル席、奥にも座敷席があるようだ。店内は古民家の風情を活かして改修されており、柱や梁、格天井から滲み出る古民家に刻まれた歴史が何とも味わい深い。テーブル席に着き、メニューを拡げる。ランチは肉料理を中心としたメニューが並び、どれも気になったが、今回は「相模園 極厚ポークステーキ」を注文した。
はじめに締めの出汁茶漬け用にと、出汁の入ったポットが、続いて、分厚いポークステーキにトマトのジュレ掛け、切り干し大根、南瓜のサラダなど季節の野菜を使った小鉢8品が運ばれてきた。マッシュポテトやソースに絡めてポークステーキを頬張る。柔らかく脂の乗った豚肉は、ソースにもワサビでも美味しく、少しずつ味を変えながら食べ進めるのが楽しい。出汁を注いだ器にご飯を入れて、ポークステーキと合わせるのも絶品である。
大磯町は宿場町だけでなはく、政財界の要人に愛された別荘地としての顔も持っており、旧東海道沿いでは、明治記念大磯邸園(陸奥宗光、大隈重信、旧李王家、池田成彬の別邸)、吉田茂邸等も順次整備公開されている。こうした施設を散策しながら、歴史を感じる店舗で食事を取るのも一興ではないだろうか。
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