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[レポート]桔梗屋文化祭



藤沢駅北口から遊行寺に向かい、藤沢橋の交差点を左折すると旧東海道藤沢宿に至る。藤沢宿は、江戸日本橋から数えて6番目の宿場で江の島道や鎌倉道、八王子街道等の結節点として、古くから交通の要所となってきた。明治以降はその地の利も活かし、近隣の農村と関係した穀物商や肥料商を中心に発展してきた歴史を持つ。



沿道には現在でも蔵や出し桁造りの店舗が点在しており、往時の風情を残している。藤沢市では市内の歴史や文化を感じさせる街並みを保全していくため、平成26(2018)年に「藤沢市街なみ百年条例」(を制定、重点的に街なみ保全や修景を行う「街なみ継承地区」として旧東海道藤沢宿を指定してきた。こうした取組の成果もあり、近年では、[歴飯_03]関次商店 パンの蔵 風土や蔵を活用した花屋「cottontail」等がオープンしている。



そんな藤沢宿内に残る歴史的建造物の一つが今回紹介する「旧桔梗屋」である。「旧桔梗屋」は茶・紙問屋を営んだ旧家で、外観の黒漆喰が特徴的な店蔵(明治44(1911)年)は市内に唯一現存する店蔵である。また江戸時代末期の文庫蔵の歴史文化的価値が評価され、平成25(2013)年には3棟が国の有形文化財に登録された。令和2(2020)年には、所有者からの寄付及び隣地の取得を経て、藤沢宿の歴史・文化を継承する拠点として活用が検討されている。これまでに、「藤沢今昔・まちなかアートめぐり」、「ひな祭り」、「蚤の市」民間事業者からの提案を受け、社会実験として活用検討を進める「トライアルサウンディング」等を実施してきた。



今回は令和5(2023)年12月16日・17日に開催された「桔梗屋文化祭」について、紹介する。当日は、施設内の一般公開のほか、地元の藤嶺学園藤沢中・高等学校、県立清流高等学校の生徒による写真や書道等の作品が展示された。普段公開されていない施設内や学生の目線で切り取られた歴史的建造物の写真や書は興味深いものがあった。



隣接する駐車場では、キッチンカーによる飲食の販売やフリーマーケットも開催され、親子連れなど賑わっている様子が感じられた。沿道は車両の交通量が多く歩行者が少ない等の課題もあり、本格的な活用に向けては課題も多いが、遊行寺や近隣の歴史的建造物を活用した店舗と合わせて、観光やまちづくりの拠点となっていくような活用を期待したい。



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