top of page
heritagetimes

[レポート]水道局×CIAL桜木町 水道と鉄道の歴史を巡るウォークラリー「横濱モダンヒストリー」【横浜市】



10月17日「近代水道創設記念日」と10月14日「鉄道の日」を記念して、鉄道や水道にゆかりのある場所を巡るウォークラリーイベント「横濱モダンヒストリー」に参加した。

このイベントは、明治20(1887)年、イギリス人技師「ヘンリー・スペンサー・パーマー」の指導のもと、横浜に初めて創設された10月17日を「近代水道創設記念日」としている横浜市水道局と、令和4(2022)年に開業150周年を迎える「鉄道」の関連事業者であるCIAL桜木町とのコラボ企画として、10月14日(木)から17日(日)までの4日間開催された。



まず、CIAL桜木町ANEXで受付。CIAL桜木町ANEXは令和2(2020)年6月に新設されたJR桜木町駅新南口と同時にオープンした商業施設で、1階には「旧横濱鉄道歴史展示(旧横ギャラリー)」があり、鉄道創業当時、実際に走行していた110形蒸気機関車、中等客車(再現)、横浜停車場のジオラマなどが展示されている。前日には、110形蒸気機関車の前面扉が開放され、テラス席が用意されていたようだが、参加した最終日の17日は残念ながら朝から雨だったこともあり、扉は閉ざされていた。

受付で、ウォークラリーのシール台紙と参加賞の「はまっ子どうしThe Water」を受け取った。シール台紙に貼られていシールは「旧横ギャラリー」のマークであった。

CIAL桜木町ANEXでは、110形蒸気機関車に連結されている中等客車への乗車体験イベントが準備されていたが、これは3箇所のチェックポイントをコンプリートした参加者への特典ということなので、後ほど体験することした。



CIAL桜木町ANEXを出て、令和3(2021)年6月25日に弁天橋の上部に開通した人道橋「さくらみらい橋」を渡り、横浜市役所へと向かう。

向かった先のチェックポイントは、横浜市役所の1階にある展示スペースB。早速、シールを貼ってもらう。台紙に貼られた白い丸型のシールには「50years UD 横浜 都市デザイン」とあることからも分かる通り、横浜市役所展示スペースBの展示テーマは、昭和46(1971)年に「都市デザイン担当」が設置され、令和3(2021)年に50周年を迎えた「横浜の都市デザイン行政」。6枚組のパネルで横浜の都市デザイン活動の概要が紹介されており、そのうちの1枚は「赤レンガ倉庫」と題して、横浜における「歴史を生かしたまちづくり」についても紹介している。




横浜市役所を出てJR桜木町駅新南口に戻る。

新南口周辺は、1872年10月14日(旧暦:明治5年9月12日)の鉄道開業時に初代の横浜駅の駅舎があった場所である。改札口を出た先、やや右の奥には「鉄道発祥の地記念碑」がある。元々、この記念碑は昭和42(1967)年10月16日に、社団法人横浜市観光協会(当時)と鉄道発祥記念碑建設特別委員会によって、現在の場所よりも15mほど西に行ったところ(そこには路面に「原標点」が設置されている。)に建設されたが、昭和62(1988)年の広場整備に合わせて現在の場所に移設された。近くで見ると、碑の台座は鉄道の車輪を、碑の柱にはレールをイメージさせる凝った作りであることがわかる。



駅前から次のチェックポイントがある野毛山公園方面に向かうには、地下道からぴおシティ(桜木町ゴールデンセンタービル)を経由し「野毛ちかみち」を通るのが便利だが、この地下道への入口左側の外壁立ち上がり部にひっそりと「開業当時の横浜駅長室跡」と刻まれた石標が埋め込まれているのにも注目されたい。



「野毛ちかみち」を抜けて、動物園通りを進んだ左手に「ちぇるる野毛」が見えてくる。「ちぇるる野毛」は、横浜市における都市再開発法に基づく再開発事業第1号(野毛町3丁目第一種市街地再開発事業)により昭和58(1983)年に竣工した複合ビルで、低層部には野毛地区センターや商業施設、高層部には住宅が入る。

その動物園通り側の足元には広場があり、そこに「日本近代水道最古の水道管」モニュメントが設置されている。当時の水道管を使って作られたモニュメントの中央には、近代水道の父、ヘンリー・スペンサー・パーマーの肖像が埋め込まれている。



動物園通りから右手に折れて野毛坂を上がっていくと、右手に横浜市認定歴史的建造物「旧平沼専蔵別邸亀甲積擁壁及び煉瓦塀」が、左手には「横浜市中央図書館(1994年・設計:前川建築設計事務所+ミド同人・永田包昭)」が見えてくる。突き当たりはいよいよ、野毛山公園である。

続いて坂を上がっていくと、左手に「横浜市長公舎(1927年・設計:横浜市建築課)」や「老松神社碑」が、さらには正面に「野毛のつり橋(1971年・設計:」柳宗理)が見え、路面には、この坂が元々震災復興事業で整備されたことを今に伝えるピンコロの青海波舗装が現れる。ここが野毛山の頂上付近ということになる。



この頂上付近には、昭和5(1930)年に運用が開始され、平成7(1995)年にその役目を終えた旧野毛山配水池があるが、現在、その上部は立ち入り禁止になっている。

その先の広場にあるのが、第3チェックポイント「近代水道の父 ヘンリー・スペンサー・パーマー」の碑である。

ヘンリー・スペンサー・パーマー(Henry Spencer Palmer 1838年4月30日 - 1893年2月10日)は、明治16(1883)年3月に来日し、日本の近代水道の礎を築いたイギリス人。水道対策に苦慮していた神奈川県は、香港と広東で水道工事を計画し、成功を収めたパーマーに白羽の矢を立て、横浜の水道計画を依頼した。パーマーは、3か月をかけて分析・調査等を行い、多摩川及び相模川から横浜までの導水に関して2つの工事計画を打出し、帰国する。翌年の明治17(1884)年12月、パーマーは再び神奈川県に請われ、水源を道志川と決定したパーマーは、野毛山貯水池に至る総延長48kmの水道工事を、明治18(1885)年4月に着工、試行錯誤の末、明治20(1887)年10月17日、洋式水道を完成させた。



チェックポイントは、パーマーの像を過ぎた先の展望台の下に設置されていた。横浜市水道局のキャラクター「はまぴょん」のシールが貼られ、チェックポイントのコンプリート記念に横浜市水道局オリジナルトートバックをいただいた。

せっかくなので、展望台に登ると市街地が一望できた。振り返ると、旧野毛山配水池の全貌が見える。草で覆われた立ち入り禁止となっている区域の下に今も旧配水池の遺構が残されている。手前には横浜において、第18回オリンピッ競技大会(東京オリンピック)の3種目(サッカー、バレーボール、バスケットボール(予選))が開催されたことを記念して昭和41(1966)年に建てられたオリンピック記念碑も見える。




これでチェックポイントをコンプリートしたので、一路スタート地点のCIAL桜木町ANEXへ向かうのだが、野毛山公園には、戦後復興期の昭和26 (1951)年4月1日に開園し、今年(令和3(2021)年)に70周年を迎えた野毛山動物園がある。野毛山動物園では、70周年にあわせて、関連展示や様々なイベントを行っているので、少し足を伸ばして見学した。




CIAL桜木町ANEXに戻り、コンプリート特典の中等車両乗車を体験する。

鉄道創業期に日本に輸入された客車は、上等車10両、中等車40両、緩急車8両の計58両で、全て英国制であった。上等車と中等車に、外観や車内の構造に大きな違いはなく、両端に出入口を兼ねたオープンデッキがあり、車内は中央通路式となっていた。

この展示車両は、鉄道創業時の写真や図面等を参考に中等客車として再現されたもの。

早速、後部のオープンデッキから車両内部に入ると、両側にロングシートがある。

すでに先客あり、あちらこちらをバックに記念写真を撮る親子、シートに座りながらじっくり室内を見渡しながら、話をするカップルなど、重い思いにこの空間を楽しんでいる。

家具調の脚で、背もたれ部分にクッションは無い。

シートに座ると、天井にはオイルランプが吊るされているが、よく見ると本物のオイルランプではなく電気式で再現されている。

野毛山までの往復で疲れた足を休めながら、往時の車窓などを妄想しながら、隅々まで堪能して車両を後にした。



近代水道と鉄道の歴史だけではなく、横浜の都市デザインや動物園など様々な学びのあるウォークラリー。歴史を生かしたまちづくりを手軽に体験できる大満足のイベントであった。





閲覧数:81回0件のコメント

Comments


bottom of page