海老名駅から国道246号線方面に向かい、県道46号線を北にへ向かうと左側に黒板調のお洒落な看板とイタリア国旗が見えて来る。ここが、今日の目的地である「Totty」。今月(令和3(2021)年6月)オープンしたばかりの古民家イタリアンレストランである。
広い敷地の中に前庭を備えた古民家があり、小さな行燈が据えられたアプローチの小径の先に、totty と大きく筆文字で書かれた暖簾がかかっている。
引戸を開けて、予約していることを告げると「いらっしゃいませ!お待ちしておりました!」と元気な挨拶とともに、近代的なオープンキッチンの前のテーブル席に案内された。
案内された椅子とテーブルは無垢の木で、手触りだけでなく香りも良い。店名が入っているところを見ると特別に誂えられたものなのではないだろうか。
腰を据えたところでメニューが運ばれてきた。ランチメニューには、4種類のパスタと、お米のランチとしてローストビーフライスがラインナップされていた。いずれもガーデンサラダとドルチェがついている。ランチメニューの中から「サルシッチャとズッキーニのパスタ」を、サイドメニューから「しらすのピッツァ」を選び注文した。
注文の品を待つ間、セルフサービスとなっているデトックスウォーターをコップに注ぎ席に持っていき、一口飲むと爽やかなレモンの香りが口いっぱいに広がった。
眼前のガラス戸ごしに庭を眺める。改修前からある木々を残しながら、「日本庭園の良さを最大限に生かしつつ、現代の空間に溶け込ませることを目指した」という庭は、砂利とタマリュウでシンプルかつコンパクトに構成されていて「和」と「モダン」を見事に融合させている。また、柿、柚子、ミカンなどの実のなる木と花々が植えられており、季節の移り変わりを感じさせてくれる。
しばらくするとガーデンサラダとピザが運ばれてきた。ハンディサイズのピザには、海老名市内の県立中央農業高校の生徒たちが丹精込めてつくった小麦粉が使用されている。厨房の石窯オーブンで焼き立てピザは、少しだけ外側にカリッとした食感と香ばしさがあり、食べ進めると、ふんだんにトッピングされたしらすとチーズがモチモチの生地の旨味と食感が口の中に広がる。
幸せになる。そんなことを思いながら、屋内に目を移すと、客室側は珪藻土が塗られた真壁が廻されており、住宅であった時の様子を継承している。対比的にキッチンとトイレだけは対比的に近代的な仕上げてになっており、壁は低く抑えられ屋根の小屋組を綺麗に見ることができる。スタッフによると壁の珪藻土はスタッフみんなで塗ったとのこと。スタッフからそんな話を伺っていると、今度はメインの「サルシッチャとズッキーニのパスタ」が運ばれてきたのでを早速いただいた。
ガーリックと唐辛子がしっかりと効いたオイルベースのソースが、歯応えのしっかりしたモチモチ食感パスタがよく絡まって美味しい。そう思いながら食べ始めたところ、同行者が注文した「渡蟹のトマトクリームのパスタ」も運ばれてきた。運ばれてきた瞬間に、蟹の香りがテーブルを支配するように広がり、つい目を奪われるように見ると、半身の渡蟹がニョッキと主張していて、ビジュアル的にもインパストがある。目でも楽しみながら、あっというまに平らげてしまった。ボリュームも十分。癖になる美味しさである。
食後には、ドルチェが運ばれてくる。セルフサービスのほうじ茶にもよくあう、ヒンヤリとしたドルチェが、口の中をリフレッシュしてくれた。
「INAMI GARDEN」と名付けられているTottyがあるこの敷地は、伊波家が先祖代々受け継がれてきた土地で、敷地内にはTottyの他に学童保育施設がある。代々受け継がれてきた土地を、地域の方々が集まり、喜ばれることに使ってもらいたいという土地オーナーの意向が伺える。
この日も丁寧に対応していただいた、オーナーシェフは横浜・青葉台のイタリアンレストランで腕を磨き、この度、地元である海老名に店を開いたとのこと。
帰りがけに振り返ると、行燈にtottyの店名に加え、建物オーナーの伊波家の家紋である「三ツ柏」も記されていた。暖簾にも書かれている店名のロゴはデザイン書道家、笠原碧花の作品。今回は、昼の訪問であったが、今度はこの行燈がムーディーな空間を演出するであろう、夜にも訪れてみたい。
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